第12章 パーティーに参加する

差出人は明らかに佐藤詩乃――なのに、文面は楓花の口ぶりだった。

南坂海乃は画面の写真を見つめ、指先でそっと娘の笑顔をなぞる。

四歳。

楓花は、彼女に一口だって食べさせたことがない。病気のときでさえ薬の匂いが嫌だと言って、遠巻きにしていた。

それなのに今は、別の女にはあんなにも恐る恐る、手厚く尽くしている。

ブルッ、とスマホがまた震えた。今度は黒谷優の秘書からの着信だった。

南坂海乃は目尻の涙を拭い、通話ボタンを押す。声は凪いだまま、波一つ立たない。

「……はい」

「奥様。黒谷社長よりお伝えいたします。本日夜、チャリティパーティーにご同伴ください。スタイリストが14時にご自宅へ...

ログインして続きを読む